NPO法人 日本卵殻膜推進協会

卵殻膜に関する研究発表

卵殻膜ペプチドの皮膚への効果1

第107回日本皮膚科学会総会
会期:2008年4月18日~20日
会場:国立京都国際会館
跡見順子1)、藤田恵理1)、大澤具洋1)、桜井隆史2)、吉村浩太郎3)、石原一彦4)、長谷部由紀夫5)
(東京大学サステイナビリティ連携研究機構1)、東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系2)、東京大学医学部形成外科3)、東京大学大学院工学院工学系研究科マテリアル工学4)、株式会社アルマード5))

皮膚の老化による変化は、真皮の細胞外マトリックス成文の減少や変性が大きな要因となっている。
卵殻膜は、ニワトリの卵の卵殻の内側に存在する薄皮で、古くから創傷治療効果のある素材としても知られている。生体成分由来の卵殻膜は皮膚に対する表面的な作用ばかりではなく、内部構造(細胞)機能を改善し皮膚の状態を維持することが期待される。卵殻膜は、人間の皮膚にとっても再生と保護のはたらきがあると考えられるが、人間の皮膚への効果についての科学的な解析は遅れている。
本研究は、加水分解により可溶化した卵殻膜ペプチド入り化粧品を用いて、人間を対象として皮膚塗布実験を行い、非侵襲的可視化解析により皮膚の健康増進効果を検証する。また、ヒト皮膚線維芽細胞へ卵殻膜ペプチドを作用させることにより皮膚再生・健康増進効果のメカニズムを検証する。本研究により可溶化卵殻膜ペプチドという新しい生体材料の開発に役立つと期待できる。

まとめ

  • 非特異的な接着を排除した細胞培養環境で、卵殻膜ペプチドにヒト線維芽細胞が特異的に接着し、増殖した。
  • 卵殻膜ペプチド上に培養したヒト線維芽細胞でTypeⅠ,Ⅲcollagenの発現量が増加した。
  • 2ヶ月間(1日2回)の卵殻膜ペプチド化粧品を塗布した皮膚では弾性が増加する傾向がある。

  • 卵殻膜ペプチドはヒト線維芽細胞の生存・増殖環境を構築し、皮膚の弾性を増加させる効果が期待できる。