日本農芸化学会2009年度大会
会期:2009年3月27日~29日
会場:福岡国際会議場・マリンメッセ福岡
加藤久典、斉藤憲司、山根拓海1)、大石祐一1)、長谷部由紀夫2)
(東大院農生科・応生化、東農大学応生化・栄養1)、株式会社アルマード2))
【目的】
卵殻膜は通常産業廃棄物として処理されるが、その有効活用も試みられ始めている。本研究では粉末化した卵殻膜を経口摂取した際に何らかの効果が認められるかを調べる目的で、ラットの肝臓と皮膚を対象にDNAマイクロアレイ解析を行った。
【方法】
6週齢Wistar系雄ラットに、対照食(AIN93G)、1%卵殻膜粉末添加食(EM)、1%加水分解卵殻膜添加食(HEM)を2週間摂食させ、肝臓と皮膚を採取した。各組織から抽出したRNAを実験群毎にプールしたのち、各群1枚のアレイチップ(Affymetrix社)を用いて遺伝子発現プロファイルを取得した。発現変化した遺伝子を抽出し、複数のパスウェイ解析ツールにより調べた。
【結果】
肝臓ではEM群において脂肪酸代謝、インスリンシグナル、HEM群においてコレステロール代謝関連の遺伝子の変化が多く見られた。皮膚ではEM群、HEM群ともに筋収縮、糖代謝関連の遺伝子の変化が多く見られた。現在、血清中の各種各種代謝パラメーターの結果と併せて詳細な解析を行っている。
まとめ
- 卵殻膜(EM・HEM)摂取は血中脂質を増加させたが、トランスクリプトーム解析により、そのメカニズムの一端を遺伝子レベルで説明することができた。
- HEMによる肝アルコール代謝亢進やEMによる皮膚エネルギー代謝亢進など様々な機能性に関わる遺伝子発現変化を促える事ができた。