■“生命のカプセル”
生物には、なぜ、卵で子供を産むものと、そうでないものがいるのでしょう?―
卵で産むものについては、環境への適応や多産のためといったいくつかの理由が想定されますが、いずれにせよ「子孫を残す」という大命題に対して自然界が出した回答と考えることもできましょう。そして、この卵という、そのほとんどが手のひらにのるほどの大きさの中に、“生命誕生のダイナミズム”が宿っているのです。
胎児が母親の体の中で育つ哺乳類と比べ、鳥類等の卵は産み落とされた後に母親から栄養をもらうことができません。にもかかわらず、ふ化したヒナは、すぐに陸上生活をしないといけないため、重力に負けない骨格や筋肉を卵の中で作っておく必要があるのです。そのため卵には、これらの組織を形成するためのすべての栄養素が含まれています。いわば“生命のカプセル”ともいえましょう。
■卵殻膜はここにある!
卵殻膜(らんかくまく)。私たちになじみのある言い方をすると「卵のうす皮」と称されるこの膜は、わずか0.07mmという厚さで、卵のカラのすぐ下にあります。最近の研究によると、この卵殻膜には、卵の中身を守るだけでなく、ふ化に向けてその厚さを変えて栄養素のやりとりに関係するなど、生命を育む重要な働きをしていることがわかってきました。 “神秘の卵”を構成する卵殻膜もまた神秘に満ちていたということになります。
〇卵の栄養価
ちなみに、卵の栄養価が高く完全栄養食と呼ばれるのも、組織の元がたくさん詰まっているからです。卵はプロテインスコアが100であることも知られています。プロテインスコアとは、必須アミノ酸が全て含まれている状態を100としたときの値で、一種類でも不足していると減点されていきますので、100かそれに近いものほど、高品質のタンパク質ということができます。
(出所:https://www.jpa.or.jp/chishiki/aminosan/01.html)
特定非営利活動法人 日本卵殻膜推進協会調べ